Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
村役場の前で、山口氏、車をとび降り、役場の滝口孝氏をせきたてて来る。石ころ坂に、車を残し、薄暗い北方の山ふところへ入って行く。恵日寺の跡である。
東北の文化財地蹟となると、とかく奈良京都のようなわけにゆかない。ここも近年一部の研究家には、重視され始め、石田茂作氏などが主になって、県の調査もすすんでいるそうだが、いわばまだ世上に関心はもたれていない。現に、ぼくなども、その組である。ここへ来て、初めて、磐梯山のすそにも、平安朝初期にこんな大規模な堂塔経営があったのかと、中古東北文化を見直したくらいである。よく騒がれている平泉の中尊寺をめぐる藤原文化だって、ここにさえ、これ程な物があったとすれば、なにも驚くにはあたらない。
嵯峨、淳和、白河などの勅願もあり、堂塔三千八百坊、東北の高野といわれたという規模や沿革を、ここでは述べきれないし、ぼくの専門ではない。
ただ寺史のうちから平家関係の事柄だけを拾えば、源平盛衰記、平家物語にも出てくる乗円房(両書には勝湛房)は、ここの住僧であったという素姓がはっきり分かる。
この恵日寺にも、南都や比叡とおなじように、当時、数千の僧兵がいたものらしい。