Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

初めは厠へでも行くのかと思っていると、おそよは縁先の雨戸をあけて庭口の方へ忍んで出るらしいので、おつぎもなんだか不思議に思った。一種の不安と好奇心とに誘われて、妹もそっと姉のあとをつけて出ると、おそよは庭口から裏手へまわった。そこには広い空地があって、古い井戸のほとりには大きい椿が一本立っている。おそよはその井戸のそばへ忍び寄って、月あかりに井戸の底を覗いているらしかった。

それから毎晩注意していると、おそよの同じ行動は四日も五日も続いて繰返された。おつぎはそれを両親に密告しようかとも思ったが、ふだんから仲好しの姉の秘密をむやみに訴えるのは好くないと考えて、ある晩、姉がいつものように出てゆくところを呼びとめて、一体なんのためにそんなことをするのかと聞きただすと、おそよは心願があるのだと言った。それがどうも疑わしいので、おつぎは更に根掘り葉ほり詮議すると、おそよもとうとう包み切れなくなって、初めてその秘密を妹に打明けた。

今から一と月ほど前の午ごろに、おそよがかの古井戸のほとりを通ると、二匹の大きい美しい蝶がもつれ合って飛んでいて、やがてその二つの蝶は重なり合ったままで井戸のなかへ落ちて行った。