Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
鉄砲の音は絶え間なしにひびいている。
僕たちは毎晩つづいて野宿同様の苦をしのいで来たので、今夜は人家をたずねて休息することにして、二、三人あるいは四、五人ずつ別れ別れになって今夜のやどりを探してあるいた。楊家店は文字通りに柳の多い村である。その柳のあいだをくぐり抜けて、僕たち四人の一組は石の古井戸を前にした、相当に大きい家をみつけた。
井戸のほとりには十八九ぐらいの若い男がバケツに綱を付けたのを繰りさげて、荷い桶に水を汲みこんでいる。おまえはこの家の者かと、僕たちはおぼつかない支那語できくと、彼は恐れるように頭をふった。ここの家の姓はなんというかと重ねて訊くと、彼はそこらに落ちている木の枝を拾って、土の上に徐という字を書いてみせた。そうして、日本の大人らはそこへ何の用事でゆくのかと訊きかえした。
今夜はここの家に泊めてもらうつもりであると僕たちが答えると、彼は再び頭をふり、手を振って、それはいけないというらしいのである。しかし僕たちは支那語によく通じていない上に、相手は満洲なまりが強いと来ているので、その言うことがはっきりと判らない。彼は何か我れわれをおどすような表情や手真似をして、そこへ泊るのは止せというらしいのであるが、その意味がどうも十分に呑み込めないので、僕たちも焦れ出した。