Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
二
二
「敵もいい加減にしないかな。早く遼陽へ行ってみたいものだ。」
むすめの噂も飽きて来て、さらにいつもの戦争のうわさに移ったときに、足音をぬすむようにしてかの老人が再びここへ姿をあらわして、主人の娘を今ここへ連れて来るから何分よろしくおねがい申すと言った。それを聴いて、僕たちは待ちかねたように起ちあがって、老人のあとに付いて門口に出ると、外はもう暗くなって、大きい柳の葉のゆるくなびいている影が星あかりの下に薄白く見えるばかりであった。そこらではこおろぎのむせぶ声もきこえた。
やがて奥の木立ちの間に一つの燈籠の灯がぼんやりと浮き出した。それはここらでしばしば見る画燈である。僕はにわかに剪燈新話の牡丹燈記を思い出した。あわせて円朝の牡丹燈籠を思い出した。そうして、その灯をたずさえて来るのが美しい幽霊のような女であることを想像して、一種の幽怪凄絶の気分に誘い出された。灯がだんだんに近寄って来ると、それに照らし出された影はひとつではなかった。問題の娘らしい若い女は老女に扶けられて、そのそばにはまたひとりの若い女が画燈をさげて附添っていたが、いずれも繍の靴をはいているとみえて、もう夜露のおりているらしい土の上を音もなしに歩いて来た。