Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
子どもの時から馴れているので、杖にすがれば近所をあるくには差支えもなかった。人間も利口で、且は器用な質であるので、針仕事などは年にもまして巧者であった。
「これで足さえ揃っていれば申分はないのだが……。」と、与市の母や兄も一層かれの不幸をあわれんだ。
不具にもよるが、一本足というのではまず嫁入りの口もむずかしい。殊にここらはみな農家で、男も女も働かなければならないのであるから、いかに容貌がよくても、人間が利口でも、一本足の不具者を嫁に貰うものはなさそうである。あたら容貌を持ちながら一生を日かげの花で終るのかと思うと、与市の母や兄ばかりでなく、時どきにたずねてゆく庄兵衛の妻も暗い思いをさせられた。
庄兵衛夫婦には子供がない。かれらが不具の少女を拾いあげたのも、勿論その不幸をあわれむ心から出たには相違ないが、子のない夫婦の子供好きということも半分はまじっていたので、妻は一面に暗い思いをしながらも、また一面にはだんだんに美しく生長してゆくお冬の顔をみるのを楽しみに、時どきに忍んで逢いに行くのであった。そうしていくらかの附金をしてやってもよいから、どこかで嫁に貰ってくれる家はあるまいかなどと、与市の母や兄に相談することもあったが、前にいったような訳であるから、この相談は容易に運びそうもなかった。