Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme

Aozora Bunko

宇都宮でも江戸でも針の稽古をしていましたから、その針の太いのをこしらえておいて、不意に飛びかかってその眼玉を突く。そう決めてから、暇さえあれば針で物を突く稽古をしていると、人の一心はおそろしいもので、しまいには一本の松葉でさえも狙いをはずさずに突き刺すようになりましたが、さて今度はその相手に近寄る手だてに困りました。彦右衛門は屋敷の用向きで江戸と国許のあいだをたびたび往復することを知っていましたので、この渡し場に待っていて、船に乗るか、船から降りるか、そこを狙って本意を遂げようと、師匠の検校には国へ帰るといって暇を貰いまして、ここへ来ましてから足かけ五年、毎日根気よく渡し場へ出て行って、上り下りの旅人を一々にあらためていましたが、野村とも彦右衛門ともいう者にどうしても出逢わないうちに、自分の命が終ることになりました。いや、こんなことは自分の胸ひとつに納めておけばよいのですが、誰かに一度は話しておきたいような気もしましたので、とんだ長話をしてしまいました。かえすがえすもお前さんには御世話になりました。あらためてお礼を申します。」

言うだけのことを言ってしまって、彼はにわかに疲労したらく、そのまま横向きになって木枕に顔を押し付けた。