Japanische Klassiker mit Furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lesen Sie 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.438 Zeichen · 238 Bildschirme
三
ゆうべの一本杉の茶屋まで行きつく間、我れわれは木立ちの奥まで隈なく探してあるいたが、どこにも彼の姿は見付からなかった。ゆうべ無暗に駈け歩いたせいか、けさは妙に足がすくんで思うように歩かれないので、僕はこの茶屋でしばらく休息することにして、他の三人は石門をくぐって登った。それから三十分と経たないうちに、そのひとりが引っ返して来て、蝋燭岩から谷間へころげ落ちている男の姿を発見したと、僕に報告してくれた。僕は跳ねあがるように床几を離れて、すぐに彼と一緒に第一の石門をくぐった。
茶屋の者は僕の宿へその出来事をしらせに行った。
三
宿からも手伝いの男が駈けつけて来て、ともかくも赤座の死体を宿まで運んで来たのは、午前十一時にちかい頃であった。雨あがりの初冬の日はあかるく美しくかがやいて、杉の木立ちのなかでは小鳥のさえずる声がきこえた。
「あ。」
こう言ったままで、僕はしばらくその死体を見つめていた。男の死体は岩石で額を打たれて半面に血を浴びているのと、泥や木の葉がねばり着いているのとで、今まではその人相をよくも見とどけずに、その服装によって一途にそれが赤座であると思い込んでいたのであったが、宿へ帰って入口の土間にその死体を横たえて、僕もはじめて落着いて、もう一度その顔をのぞいてみると、それは確かに赤座でない、かつて見