Japanische Klassiker mit Furigana
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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
Lesen Sie 井上円了・世界旅行記 (おうべいかっこく せいきょうにっき) von 井上 円了 (いのうええんりょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 260.015 Zeichen · 519 Bildschirme
日暮れて詩情のかきたてられるのを止めがたく、なにしろ百尺の高い帆柱の上には鎌のような月がかかっているのだ。)
三十日、晴れ。午前中に熱帯をこえて暖帯に入る。正午、北緯二十四度にあり。太陽は少しく南方に傾き、日陰をやや北方に見るに至る。風力、風位ともに前日のごとし。船これに逆行して北進す。夜に入りて船客の行列あり。種々異様の装いをなし、女が男に化し、男が女となり、あるいは黒奴を擬し、あるいはインド人をかたどり、あるいは日本婦人をまねるあり、あるいは車夫、あるいは巡査、あるいは郵丁を模擬する等、すこぶる奇装を競い、笑声沸くがごとし。後に投票を行い、その多数を得たるものに賞品を与えり。これまた船中の閑散無事を破る良案なり。
七月一日、曇り。北風いよいよ強く、白浪海面に連なるも、船の揺動するに至らず。朝来、カナリア群島の間に入る。雲気のために右方の島を望むことを得ざるも、左方のテネリフェ島の山容には近く接するを得たり。この島は全く高山によりて成り、その最高峰はわが富士山と同じく海抜一万二千尺ありというも、雲煙に閉じられて望むことを得ざるは遺憾なりとす。ここに陸地を見たるは十五日目なれば、船客みな旧知に再会せる心地をなす。