Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうべいかっこく せいきょうにっき

井上円了・世界旅行記

井上 円了

Lesen Sie 井上円了・世界旅行記 (おうべいかっこく せいきょうにっき) von 井上 円了 (いのうええんりょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 260.015 Zeichen · 519 Bildschirme

Aozora Bunko

今夜、熱帯圏内に入る。

六日、快晴。天を極めて一点の雲影を見ざるも、天気なんとなく清朗ならず、風もまた湿気を帯ぶ。夜に入り露気多し。深更に至り明月清輝を放つ。

天涯無レ友与レ誰親、檣際徘徊月一輪、影入二波心一光万頃、終宵照殺遠遊人。

(天の果てには友もなく、だれと親しもうか、帆柱のあたりに一輪の月がさしかかる。月光は波のなかに入ってひろびろとひろがり、夜明けまで遠く出遊する人を照らすのであった。)

七日、雨のち晴れ。夜いまだ全く明けざるに、汽笛一声客夢を驚かす。ときに、船すでにケープベルデ島、セントビンセン港に入る。その島はポルトガルの所領にして、カナリア島をさること八百七十マイルの洋中にあり。まことに絶海の孤島にして、海底電信の要駅なり。南米に往復する汽船は、ここに入りて石炭を積み込み、帆船は風波を避く。全島山岳より成る。山峡の海に向かいて開きたる所に市街あり。赤瓦白壁、スペイン式なり。その両側に海にそいて起伏せる丘山は、草木絶無、焼後の地を見るがごとく、赤土にして黒色を帯び、実に殺風景を極む。ときに雨来たり雲集まり、遠山を望むを得ず。黒奴船外に蟻付し、乗客に向かい、銀貨を海中に投ぜんことを請う。