Japanische Klassiker mit Furigana
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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
Lesen Sie 井上円了・世界旅行記 (おうべいかっこく せいきょうにっき) von 井上 円了 (いのうええんりょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 260.015 Zeichen · 519 Bildschirme
レ月伯林夕、露北野如二烟海闊一、大西波似二乱山堆一、看過米山加水勝、帰舟更向二日東一来。
(志を立てて日本に別れを告げ、眸をこらしてまず対馬の山をみる。紅い夕日の沈むあたりは呉かあるいは越の国であろうか、白い雲のとどまる所は台湾である。とりまくような厦門の山々は波のごとく、ひとすじの香港のせまい海は袋のようである。安南の海上の風波はあらく、印度洋では長い日をすごした。船は亜丁に入港してようやく山をみ、航路は蘇士をすぎて暑熱はおさまる。旅の身はなお地中海にあるも、夢のなかではすでに欧米の都市をたずねる。花の咲きほこる巴里の街路、月の光のもと倫敦橋で船を下りる。獅子が岡のほとりで古戦場(ワーテルロー)の跡をたずね、海牙の街では先人賢者(スピノザの銅像)をおとなう。伊国の冬の三カ月は草もすでに青々として、瑞の山々は八月にもかかわらず白く雪が残っている。吟詠しつつ花をめでた維納の春、酔っては月の下、伯林の夕に歩いたのである。露の北の野はけぶる海のごとく広く、大西洋の波は乱れたつ山のかさなるがごときであった。米の山と加の湖水の景勝をみて、帰国の船はいまあらためて日本に向かって行くのである。