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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

水色のペンキの色は、清潔には違いないが、なにか不安なおのゝきをあたりに漂わせ、砂利を踏む靴の音にも、いくらか哀調のこもる特殊なこゝの雰囲気である。

玄関で面会の手続をする。受附で部屋の番号はわかつたが、一応、前もつて医者か係りの看護婦に容態をたずねてからと思い、医局の前へ来ると、ちようど若い医者がドアを開けて出て来た。

「ちよつと伺いますが、長久保小萩という患者に面会したいのですが、もしおわかりなら、簡単に容態をおきかせいたゞけないでしようか?」

彼がこう問いかけると、若い医者は、即座に、

「あゝ、その患者は、重態で、面会謝絶ということになつています。お身内の方ですか?」

「いえ、そうじやありませんが……」

「お身内の方でも、なるべく遠慮していたゞいた方がいゝんです。この療養所は、その点、特に厳重にやつてるもんですから……」

「重態というのは、危険ということでしようか?」

「いや、必ずしも、そうじやありませんが、容態としては、楽観をゆるさない、最も慎重を要する時期なんです。絶対安静を要求してあります。些細なショックでも、すぐに影響があるものとみて、一切面会をお断りしてあるわけです」