Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
どうも、そのへんのところが徹底していないのじやないか、と、僕は、ちよつと気がついたもんですから……」
「いや、それは、もう、だいたい石川先生の話で……」
と、長久保宇治は、京野等志の方を向いて、不機嫌に言うのを、
「石川先生は、僕には、今退院させるのは不賛成だと言いましたよ。患者の家庭の都合で、止むを得ず許したと、はつきり言いました。所長のご意見として、そのことが、どういう風にあなたの耳にひゞくか、僕はそれが知りたいんだ」
「失礼ですが、京野さんといわれましたね、あなたと長久保さんとはどういうご関係で……?」
と、所長は慎重を期するように、たずねる。
「あ、それは、さつき申しあげませんでしたが、僕は、患者の小萩さんの実家をよく知つているものです」
「それだけのご関係ですか?」
「それで十分じやないでしようか?」
この反問が所長には突飛に思えたらしく、ちよつと眼のふちに皺をよせて、困つたように眼をそらし、
「いや、それだけ伺えばよろしい。療養所としては、できるだけこのまゝ、こゝで加療を続けられるようにお勧めしましたが、患者の話では、家庭のご都合で、どうしてもそれができないといわれる。