Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
第一に、病状は疑う余地もなく危機を脱していることがわかり、彼はほつとした。つぎに、身辺の変化という言葉の意味である。公然と彼に手紙の書けるような状態とは? 長久保宇治の急死ということも考えられた。それなら、そう遠廻しな言い方をしなくてもよさそうに思われた。夫との間がいよいよまずくなつて、結局、宣戦布告をしたのであろうか? なるほど、それならわかる。が、それにしても、そうならそうで、もつと、昂然たる意気を示せばよいものを、最後は、世捨人のように消極的な調子で結んであるのは、なぜであろう? 業病は精神力をこうまで蝕むものであろうか?
京野等志は、そんなことを考えながら、そこへ集まつている母や妹たちのことを忘れて、しばらく、その手紙から眼をはなさなかつた。
「あ、やつと、部屋がみつかつた。明日からでもいゝそうだ。ともかく、越そう」
と、彼は、やつと我れにかえつて、言つた。
「どこなの?」
多津は、眼を輝やかす。
「大森……いゝ家だぜ。二階の八畳と四畳半二間、それに、台所と風呂は自由に使つてくれつていうんだ」
「それで、あちらさんのご家族は?」
と、母がたずねる。