Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
「困つたことになつたよ、兄さん……」
と、言つた。
「その赤ん坊、どうしたんです?」
彼は、約束が違うと思つたのである。
「どうしたも、こうしたも、あんた、昨夜おそく、あの女がやつて来てさ、無理矢理に押しつけて行つたんだよ。いつまで待つてもらちが明かないからつていうんだけど、もう、こつちの言うことなんぞ、聴こうとしないんだから……」
「多津は?」
「きよう一日、あんたの帰りを待つてたんだけど、夕方から、ちよつと出掛けるつて出たつきり、まだ戻つて来ないんだよ」
「真喜は?」
「あの子が始末にいけないのさ。ゆうべもお父さんをガミガミどなりつけて、今朝になると、もう学校へ行くのはやめるなんて言いだすんだもの」
「お母さんもずいぶん苦労をさせられますね。しかし、その赤ん坊以外は、みんな自分で自分のことは考えるんですから、ひとりで心配するのはおよしなさい」
と、京野等志は、母の面やつれした顔をみながら、励ますように言つた。すると、母は、急に声をひそめて、
「ところで、兄さん、下の奥さんがね、今朝からおつしやるんだよ――赤ちやんがおありになることは伺つておりませんでしたがつて……。