Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
「どうして?」
と、彼は小声でたずねた。
「どうしてつて……わかつてるじやないの。いま、誰にも会いたくないの」
彼は、ちよつとまずいなと思つたけれども、強いて会わせるにも及ばぬと考えなおし、
「あゝ、そんなら、それでいゝよ。なんの用事だか知らないけれど、こゝで長つ話はうるさいだろうから、散歩かたがたホテルまで送つて来るよ。どうせ、今夜はあそこへ泊めるよりしようがないだろうから……」
彼は、戻つて来ると、二人に言つた。
「病人姿で人前に出るのはいやだというから、あしからず……。さて、こゝはごらんの通り客を通す部屋もないんでね。ぶらぶら歩きながら話そう。君たちは今夜はどうする予定だい? ホテルへ泊るなら案内するよ」
そう言つて、彼は二人を外へ誘いだした。
「おれはただ、君の養蜂事業というやつを見学かたがた、山の空気を吸いに来たんだ。しかし、あゝいう女性がそばにいることは想像もしなかつた。羨ましい生活だな」
と、南条己末男は、ほんとに羨ましそうに言つた。
「あたしは、たいがい見当がついてたわ。南条さんには黙つてたけど、兄さんの近頃の様子で、結局こうなるんだろうつて、多津姉さんとも話してたのよ」