Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
「忙しいようだが、あんまりかまわんでくれ」
「なに、忙しそうにみえるだけさ。まあ、ゆつくりして行け。さ、上りなつたら。おれや、足洗つて裏から上るで……。あ、おめえも、さ、ウジさ、上つておくんなんし」
と、百瀬秀人は、連れの男をも促した。
通された座敷は、それでも床がつき、コタツが切つてあり、一方の壁には、大きな書棚を据え、彼がひとかどの読書家であることを示していた。
京野等志は、その本棚をじろじろ眺めまわした。この男がどんな本を持つているか、ちよつと好奇心が動いたからである。なるほど、蔵書の大部分が社会問題乃至政治経済方面の著書である。一農民としての立場から、その必要があるのだということは、彼の平生の主張からもよくわかつていた。
やがて、百瀬秀人は、自分で十能にオキ火を入れて持つて来た。それをコタツにほうり込むと、
「さ、楽に……さ、楽に……」
と、続けさまに言い、ふと、初対面の人物が互に白けた様子をしているのに気がつくと、
「あ、まだ紹介をせんじやつた。これは、わしの戦友で、京野等志つていうフランス語の達人、俘虜収容所でも半年あまり一緒に暮してさ、同じ船で仏印から引揚げて来ただ。