Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
なんて、戯談なんか言つてる場合じやないのよ。重大問題の相談にのつていたゞきたいの」
「おい、おい、また問題を起すのか?」
「もう、起つちやつたんだから、しかたがない」
「なんだい、早く言えよ」
「ちよつと、待つて……。あたし、もう、自分のことは考えないつもりだつたの、ほんとに……。それが一番、自分のことを考えるからだ、ともいえるけど、とにかく、あたしの生涯は一応終つたつもりにして、どこかの隅で、ひとの邪魔にならないように暮して行きたいと思つていたのよ。今でも、そうは思つてるんだけれど……」
「聞いてるよ。言いたいだけのことを言つてごらん」
「えゝ、言わしていたゞくわ。そうなるまでは、ずいぶん苦しんだの。やつとこさ、気持の落ちつき場所をこしらえたと思つて、ほつとしていたところへ、まつたく困つたことができちやつたの。きのう、新宿の地下道で、ぱつたり、会つてはならないひとに会つてしまつたんです」
「天下の公道でなら、誰にだつて会うさ」
「会い方にもよるわ。口を利かないわけにいかないような会い方、こつちで避けようにも避けられない会い方なの。そのうえ、あたしは、どうしてだか、そのひとの顔をみて、ぐらぐらッと、意地も張りもなくなつてしまつたの。