Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme
南条己未男は、彼の顔をみると、
「おい、ビッグニュースだ。驚くなよ」
と言つた。
「驚かない。それより、早く支度をしろよ」
「支度はもうできてる。そうかなあ、驚かないかなあ。美佐ちやんの消息、最近の、知つてるかい?」
「美佐の消息? 知らない。死んだか?」
と、彼は、わざと冷静に、とぼけてみせた。
「それがそうじやないんだ、つい、こないだ、おれは、妙なところで、ぱつたり出くわしたんだ。築地の待合だ」
「…………」
京野等志は、すぐには腑におちなかつた。それとみて、南条は言葉をついだ。
「芸者になつてる、芸者に……。これでも驚かんか?」
「ほんとかい?」
「おれがこの眼で見たんだから間違いないさ。まさかと思つた、はじめは。こつちの方がまごついちまつたよ。向うは、どうして、出たてだつていうけれど、落ちついたもんさ。おれを知つて、わるびれるどころか、――とうとう見つかつちやつた。兄が帰つて来てるのご存じ? もうお会いになつた? こうだよ。会社の宴会なんだが、おれは挨拶に困つた」
二人は、もう本郷の通りを歩いていた。
京野等志は、この話を聞いて、驚くよりも、唖然とした。