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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Lesen Sie 光は影を (ひかりはかげを) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.262 Zeichen · 276 Bildschirme

Aozora Bunko

たしか、百瀬秀人からの封書が一通まじつていた筈である。それを急いで、封を切つてみる。

前略、先日はわざわざたずねてくれたのに、ろくなもてなしもできず、三十三歳にしていまだ家をなさぬ男の、殺風景な身辺をみせたにすぎなかつた。寛恕を乞う。早速ながら折入つて君に頼みたいのだが、小生の姪にあたる娘が、高等学校を今年出たのはよいが、どうしても東京へ出て文学をやるのだといゝ、両親の反対を押し切つて、既に小生のところへ転がりこんでいる。この叔父はいくぶん理解があると見込まれたわけだ。その信頼に酬いるわけでもないが、どうせ無謀な行動を制止できぬ以上、いくらかでも、本人の足がかりを作つてやるほかはないので、せめて、君にでも相談して、どこか然るべき文士の家に弟子兼女中というようなかたちで住み込ませる手を考えついたのだ。どうだろう、むつかしい相談だろうか? 君はその方面に多分知己もあるとにらんでの頼みだが、面倒でも、ひとつ、口をきいてやつてもらいたい。もう明日にも上京すると気の早いことを言つているが、君の返事があるまで待てといつて止めてある。

序でながら、この娘は、多少都会そのものにあこがれている風が以前からあつて、例の長久保夫人とよく話が合うらしく、ちよいちよい出入をしていたようだ。