Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
そのような鈍さはこの薬師如来のどこにも現われていない。これは今生まれたばかりのように新鮮なのである。
わたくしはこの像を凝視し続けた。あの真黒なみずみずした色沢だけでも人を引きつけて離さないのである。しかもその色沢がそれだけとして働いているのではない。その色沢を持つ面の驚くべく巧妙な造り方が、実は色沢を生かせているのである。そうしてその造り方は、銅という金属の性質を十分に心得たやり方である。特殊な伸張力を持った銅の、言わば柔らかい硬さが、芸術家の霊活な駆使に逢って、あの美しい肌や衣の何とも言えず力強いなめらかさに――実質が張り切っていながらとろけそうに柔らかい、永遠に不滅なものの硬さと冷たさとを持ちながらしかも触るれば暖かで握りしめれば弾力のありそうな、あの奇妙な肌のこころもちに――結晶しているのである。が、このような銅の活用も、人体の美に対するこの作者の驚くべき理解がなくては可能でない。あの開いた右手を見よ。あの肩から肱へと左の腕を包んだ衣の流れ工合を見よ。それは単に一端であるが、しかしそれだけでもこの作者の目が何を見ていたかはわかるであろう。