Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
次の日はまた博物館から始めた。
博物館の玄関脇に狭い応接室がある。緑布をかけた長方形の卓子や数個の古めかしい椅子などで室が一杯になっている。そこの壁に古画をかけて見せてもらうのである。
九時ごろT君と二人で博物館の入り口へ着くと、Y氏が弱り切ったような顔をして立っている。八時半と話しておいたのにこう遅刻されては困るという。それからZ君夫妻がいっしょでないのに気づいて、どうなすったと心配そうにきく。昨日の疲れで今日は来ないかも知れぬと答えると、急にあわてて、それは困る、博物館の方では非常に好意を持ってどれでも好いだけ御覧に入れようと言っているのに、そんなことをされては困る、電話をかけましょうと騒ぎ出す。それまでのんきに構えていたわたくしたちは、Y氏のあわて方を見て、この特別展覧がどんなに繊細な感情に基づいているかをやっと悟った。そうして困ったまま立ちすくんでいるとおりよくZ君たちが俥で馳けつけて来た。一同ほっとして、何食わぬ顔をして玄関をはいって行く。
掛かりの館員は愛想よく迎えて挨拶がすむと、さて何を出しましょう、まず法華寺三尊、さよう、どうしてもあれですな。