Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
ある日大きい石棺を掘り当てて、豊富な宝物を予想しながら蓋をあけると、中には色の白い美しい女が、まるで生きたままの姿で横たわっていた。その男は仰天して尻餅をついた。しかしその仰天してから尻餅をつくまでの間に女の姿は変色してハラハラと灰のように砕けてしまった。だから他には見たものはなかった。見た男は熱病にとりつかれて間もなく死んだ。
がまた発掘はいつも成功するとは限らなかった。今横浜の三渓園に移されている賀茂の塔なども、礎の下に非常な宝物が埋めてあると伝えられていた。で、移すときに大勢の人夫を雇ってその発掘を始めた。人々はみなその宝物の期待で緊張していた。特に監督の役をひきうけていた人は、人夫が不正なことをしはしまいかという心配で、熱し切っていた。一日目は石塊ばかり出た。二日目も石塊ばかり出た。三日目も同様であった。何間掘り下げても何も出なかった。
こんな話をきいているうちに汽車は丹波市を通った。天理教の本場で、大きい会堂らしい建物が、変に陰欝な感じを与えるほど、立ちならんでいる。天理教徒の布設した鉄道もここから王子へ通じているのである。汽車で駈け通ってさえ濃い天理教の雰囲気が感ぜられる、あの町のなかへ入り込んだらどんなだろう、と思わずにはいられなかった。