Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
なお大仏殿のうしろには、大講堂を初め、三面僧房、経蔵、鐘楼、食堂の類が立ち並んでいる。講堂、食堂などは、十一間六面の大建築である。
そこには恐らく幾千かの僧侶が住んでいたであろう。そのなかには講師があり、学生があり、導師があり求道者があった。彫刻、絵画、音楽、舞踏、劇、詩歌――そうして宗教、すべて欠くるところがなかった。
わたくしは中門前の池の傍を通って、二月堂への細い樹間の道を伝いながら、古昔の精神的事業を思った。そうしてそれがどう開展したかを考えた。後世に現われた東大寺の勢力は「僧兵」によって表現せられている。この偉大な伽藍が焼き払われたのも、そういう地上的な勢力が自ら招いた結果である。何ゆえこの大学が大学として開展を続けなかったのであろうか。何ゆえこの精神的事業の伝統が力強く生きつづけなかったのであろうか。「僧兵」を研究した知人の結論が、そぞろに心に浮かんで来る、――「日本人は堕落しやすい。」
三月堂前の石段を上りきると、樹間の幽暗に慣れていた目が、また月光に驚かされた。三月堂は今あかるく月明に輝いている。何という鮮やかさだろう。清朗で軽妙なあの屋根はほのかな銀色に光っていた。