Japanische Klassiker mit Furigana
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こじじゅんれい
古寺巡礼
和辻 哲郎
Lesen Sie 古寺巡礼 (こじじゅんれい) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.765 Zeichen · 285 Bildschirme
竜門の浮き彫りなどに現われた直線的な衣の手法は、夢殿観音には似ているが百済観音には似ていない。しかしここで問題としたいのは、あの直線的な手法の担っている様式的な意義なのである。百済観音は確かにこの鋼の線条のような直線と、鋼の薄板を彎曲させたような、硬く鋭い曲線とによって貫かれている。そこには簡素と明晰とがある。同時に縹渺とした含蓄がある。大ざっぱでありながら、微細な感覚を欠いているわけでもない。形の整合をひどく気にしながらも、形そのものの美を目ざすというよりは、形によって暗示せられる何か抽象的なものを目ざしている。従って「観音」という主題も、肉体の美しさを通して表現せられるのではなく肉体の姿によって暗示せられる何か神秘的なものをとおして表現せられるのである。垂れ下がる衣のひだの、永遠を思わせる静けさのために、下肢の肉づけを度外しているごときは、その一例と見ることができよう。従ってこの作家は、肉体の感覚的な性質の内へ食い入って、そこから神秘的な美しさを取り出すというよりも、表面に漂う意味ありげな形を捕えて、その形をあくまでも追究して行こうとするのである。