Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Lesen Sie 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 151.766 Zeichen · 303 Bildschirme
スミ子ちゃんが教えるまでは、おかしのはいっているひき出しさえ知らなかったのです。これは、どうしたことでしょう。いくら心配ごとがあったって、そんなことまでわすれるというのは、どうもおかしいではありませんか。
そのとき、階段に、とんとんと足音がして、にいさんがおりてきました。その音をきくと、スミ子ちゃんは、ギョッとしたように、階段のうしろに身をかくしました。そして、にいさんが、おとうさんたちのいる書斎へはいっていくのを、ソッとのぞいていました。
なぜ、そんなへんなまねをしたのでしょう。スミ子ちゃんは、自分でも、わけがわかりませんでした。
階段のかげから、書斎のほうへ行くにいさんのうしろすがたを見ていますと、
「あれが、ほんとうに一郎にいさんかしら?」
と、うたがわしくなってきました。
あたまの中に、にいさんのすがたと、あの恐ろしいこうもり男のすがたとが、二重うつしのようにかさなりあって、ボウッと浮かんでくるのです。
「まさか、そんなことがあるはずはない。いくら、四十面相が変装の名人だって、あんなに、にいさんとそっくりに化けられるはずはないわ。でも、ひょっとしたら……。