Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけのつじ

夜明けの辻

山本 周五郎

Lesen Sie 夜明けの辻 (よあけのつじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.801 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

「降るなかを御苦労であった」

頼母は待兼ねていたように挨拶をそこそこに受けて云った。

「じつは大任を頼みたいのだ」

「拙者に勤まることでございましたら」

「県先生が暴漢に襲われてな」

「……暴漢に」

ちらと道之進は伊兵衛の顔を思いだした。

「今朝、地理を観るために鬼鉾山へ登られたのだ。この雪だからといちおうはお止め申したが、先を急ぐからとの仰せで、東寿どのとお二人で登って行かれた。すると……権現堂のところで、あとを尾けて来た七人の者が、有無を云わせず斬ってかかったそうだ」

「して先生には!」

「東寿どのは盲人ながら稀代の剣士とみえ、七人のうち四人までその場に討止め、無事に戻ってみえられたが……その暴漢が困ったことに家中の者なのだ」

道之進は息をのんだ。ふたたび伊兵衛を思ったのである、しかしその疑いはすぐに解けた。

「家中と申しても国許の者ではない。みな江戸屋敷の人間で、江戸からずっと先生を尾狙って来たらしい」

「なんのためにさようなことを」

「まだそのもとには知るまいが、江戸の老職吉田玄蕃とわしとの推挙で、県先生をお上の賓師におすすめ申してある。このたび当地へ講演にお招き申したのもその手順の一であるが……江戸表重役のうちに反対する者があってな」