Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
Lesen Sie 夜明けの辻 (よあけのつじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.801 Zeichen · 86 Bildschirme
三の二
金に眼が昏むとか、女に迷うとか、権勢に執着するとか、大きい人物は大きいなりに、やっぱり弱点を持っているものだよ」
「国老になにかそんなことがあるのか」
「小幡は小藩でも由緒ある織田の直流だ。この藩政を自分の手に握っているということは、誰にしたってそう不愉快なことじゃないさ」
二人は功刀の屋敷へ曲ろうとしていた。するとそっちから、雪を蹴立てて、ころぶように走って来た者がある。
「あっ、兄上さま」
妹の佐和であった。
三の二
「佐和じゃないか、どうしたんだ」
「お捜ししていましたの」
佐和は蒼白く、ひきつったような顔をして、息を喘がせていた。
「兄上さまがおでかけなさるとすぐ、土井さまと山口さまのお二人が」
「二人がどうしたって」
「大弐を斬るとおっしゃって出ていらっしゃいました」
「桃井はどうした。久馬は」
「桃井さまはお足の傷が痛みだして動くことができず、家で臥っておいでなさいます」
伊兵衛は思わず呻いた。
――もしや?
さっき津田邸を出たとき、裏庭のほうでただならぬ物音がした、不審に思いながらそのまま来てしまったが、もしや……あのとき二人が斬り込んだのではないだろうか、物音は烈しかった。