Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
Lesen Sie 夜明けの辻 (よあけのつじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.801 Zeichen · 86 Bildschirme
生死をまるで度外にした、不抜の信念、ずんと一本つきぬけた意志が、その全身から熱のように放散していた。
生死を超えて『道』のために自分を投げだしている強さ! それが伊兵衛の胸を圧倒したのである。道を踏む者の無我の気が、伊兵衛の手足を縛りつけたのだ。
「山県どの、おーい」
走りながら伊兵衛は叫んだ。凍てた雪が、足下でばりばりと鳴った。およそ七八町、足も宙に追って行くとやがて……立止っている主従の姿が見えた。
「お待ちください。山県どの」
伊兵衛は近寄りながら、
「さきほどのお言葉について伺いたいことがある。話が済むまではけっして乱暴はしません」
「東寿、退っておれ」
大弐はそう云って振返った。
「御不審があるならお話し申そう。しかし、夜も更けて寒気も厳しく、道の上の立話もなるまい。よろしかったら板鼻の宿まで同道なさらぬか」
「望むところです。御一緒にまいろう」
「笠も合羽もなく、雪まみれでは寒かろう」
大弐は伊兵衛の姿を、改めて見直すようにしながら云った。
「東寿、包の中になにかあろう。出してお貸し申すがよい」
盲人は背から包を解き下し、綿の入った十徳のようなものを取出した。