Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけのつじ

夜明けの辻

山本 周五郎

Lesen Sie 夜明けの辻 (よあけのつじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.801 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

先に裏へ廻った三名が、街道のほうへ走って行く姿がちらと見えた。伊兵衛は宿の丹前を着たなりである。裾が足にからまるし広い袖が邪魔だった。しかし懸命に走ってすぐ三名に追いついた。

「待て、待たぬと斬るぞ」

脱兎のように、追い越しておいて向直ると、伊兵衛ははじめて大剣を抜いた……伊兵衛の腕を知らぬ者はない。きらりと闇に大剣が閃いたとき、三名はぴたっと足を止めた。しかしすぐにそこへ、十郎兵衛と他の二人とがはせつけて来た。

「かまわぬ、斬って通れ」

十郎兵衛が叫んだ。

「よし斬ってこい」

伊兵衛は左手に持った鞘を投げながら応じた。

「話しても分らぬやつはこっちも容赦はせぬ。だが一言だけ云っておく、おれたちは間違っていたんだ、ひと口には云えない。言葉で説明することはできない、けれども山県どのを乱臣と見たのは拙者の誤りだ。小幡一藩の興廃から見たらあるいは禍根となる人かも知れない。しかしそれは山県どのの乱臣であるためではない。おれはいまそれを説明することができない。おれ自身がもっとよく知りたいんだ」

「問答無用だ。功刀、きさま小幡の藩士として、この刀が受けられるものなら受けてみろ」