Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
Lesen Sie 夜明けの辻 (よあけのつじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.801 Zeichen · 86 Bildschirme
頼母は居間で待っていた。
「御苦労であった」
「思わぬことができまして帰国が後れました」
「思わぬこととは、なにか……」
「山県先生はどうなされました」
挨拶もそこそこに、道之進は声をひそめて云った……旅の疲れもあろう、しかし彼の蒼白な顔にはなにやらもっと重大なものがひそんでいた。頼母は訝しげに眉を寄せて、
「山県先生はあれからすぐ御出立になった。もっともそれについて少し困ったことはできたが」
「なんでございます」
「功刀伊兵衛が紙屋十郎兵衛と若手の者四五人を相手に、板鼻の宿で間違いをしでかしたのだ。仔細はよう分らぬ。十郎兵衛と若手の二人が重傷し、伊兵衛はそのまま立退いてしまったが……人を遣わして調べさせたところによると、伊兵衛は山県先生をお護り申して行ったようすだ」
「伊兵衛が、県先生を……」
道之進にはまるで謎のような言葉だった。初めて講演を聴いた夜、伊兵衛は大弐の説を罵倒して、
「山県どのはいまに殺されるぞ」
と云った。国を危くする説だと云った。その伊兵衛が、こんどは逆に大弐を護衛して行ったという。
「しかし、それはなにかの間違いではありませんか」
「間違いではない。