Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
(病もまた人間にとっては強敵だ。こいつを調伏する剣は何か?)
彼の敵は、常に、彼の外にばかりはいなかった。四日ばかり仰向けに寝たままでいる瞑想の課題に、そんなことを考えたりしたが、
(あと幾日)
と、年暮に迫る暦を見、吉岡道場との約束に思い及ぼすと、
(こんなことはしていられない)
肋骨は、旺な心臓を抑えるため、鎧のように張って来て、思わず、材木のように腫れている足で、がばと蒲団を刎ね退けてしまう。
(この敵にすら克てないで、吉岡一門に勝てるか)
病魔を組み敷くつもりで、無理に畏って坐ってみる。――痛い。気が絶え入るほど痛いのだ。
窓へ向って、武蔵は眼をつぶっている。かっかと赤くなった顔がやがて醒めてくる。彼の頑固な信念に、病魔も負けて、幾分か頭がすずやかになったらしい。
眼をひらくと、窓から真っ直に、外宮内宮の神林が展けている。その上に前山、すこし東に方って朝熊山が見え、それを繋ぐ山と山との肩の間から、群山を睥睨するように、突兀として、剣のような一峰が望まれた。
「鷲嶺だな」
武蔵は、その山と睨みあった。仰向けに寝ながら毎日見ていた鷲ヶ岳である。彼は何となくこの山を見ると闘志を感じるのだった。