Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、その広い工事場を、絶えず高い所から見渡している独特な眼があった。それは丸太組の櫓のうえにいる棟梁衆や作事与力の上役だった。そこから突然、大きな声が放たれたと思うと、櫓の下の湯呑み所の板がこいの中で、大釜の火にいぶされながら働いていた足軽たちが、

「なんだ?」

「何だ」

「また、喧嘩か」

と、外へ飛び出した。

もうその時は、作業場と町屋の境に出来ている竹矢来の木戸で、真っ黒にかたまった人間の怒号が黄いろい埃につつまれていた。

「間者だな! 大坂の」

「性懲りもなく」

「ぶっ殺せ」

口々にいって、石工や土工や工事奉行の配下は、みな自分の敵でもいるように駈け集まって行く。

半分顎のない武者修行が捕まったのだ。竹矢来の外へ出て行く牛車の蔭にかくれて、すばやく木戸の口をすり抜けようとしたが、そこの番衆たちに挙動を怪しまれて、釘の植わっている刺叉という柄の長い道具で、いきなり足を搦み取られたのであった。

そこへ、櫓の上からも、

「その編笠を引ッ捕えろっ」

と、呼ばわる声が同時にあったので、理由などは問わず、遮二無二、組み伏せにかかると、武者修行は形相をあらためて、野獣のように死にもの狂いとなった。