Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme
だが、精神だけは恐ろしく張りつめているらしい。そのうちに彼は、はッと首を擡げた。鋭い眼で、虚空をにらんだ。
虚空には、神苑の杉の巨木が、ごうっと絶え間なく暗い風に鳴っていた。――が今、武蔵の耳をいたく刺戟したのは、その風の間に流れて来た――笙と篳篥と笛とを合奏せた古楽の調べであった。
さらになお、耳をすますと、その奏でのうちに、やさしい童女たちの唱歌が聞き取れる。
シダラ ウテト
テテガノタマエバ
ウチハンベリ
ナラビハンベリ
アコメノソデ
ヤレテハンベリ
オビニヤセン
タスキニヤセン
イザセンイザセン
――くそっ! とまたしても武蔵は唇を噛んで、無理に立ちあがった。自分の体が、膠のようにままにならないらしい。風宮の土塀へ、両手をかけ、手で蟹のように横へ歩いてゆく。
彼方の燈の洩れる蔀から、天界の音楽は聞えるのだった。そこは、子等之館といって、大神宮に仕える可憐な清女たちが住む家だった。おおかた、天平の昔のように笙や篳篥の楽器をならべて、その清女たちが、神楽の稽古をしているのであろう。
虫が歩むように、武蔵が近づいて行ったのは、その子等之館の裏口らしかった。