Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵 (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.809 Zeichen · 369 Bildschirme

Aozora Bunko

「――ア痛!」

とさけんだ。

さけびながらまた、後ろを向いたのもこの男の戸惑いである。その真っ向へまた、

「この馬鹿者っ」

ぴゅっ――と空気に鳴りながら、節のある尺八が、脳天を打ち下ろした。

これは痛くなかったろう、痛いと感じる間がなかったからである。八十馬は、へなへなと肩も眼じりも下げてしまい、張子の虎のように首を左右へぶるると振って後ろへ引っくりかえってしまった。

「他愛ないものだ」

尺八を手にぶら下げながら、撲った方の虚無僧は、八十馬の顔をのぞきこんでいる。――ぽかんと口を大きく開いて気絶しているのだ。打ったのが二度とも脳であったから、気がついてもこの男は痴呆性になるのではないかと考え、ひと思いに殺したよりも罪な業をしたものだと、つらつら眺め入っている。

「……?」

朱実はまた、その虚無僧の顔を、茫然と見ていた。唐蜀黍の毛をすこし植えたように、鼻の下にうす髭が生えている、尺八を持っているから虚無僧と人も見ようが、うす汚い着物に、一腰の太刀を帯び、乞食か侍か、よく見ないと判断のつかないような五十男である。

「もういい」

青木丹左衛門は、そういって、唇の下へブラ下がっている大きな前歯でわらった。