Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
寝鳥のさわぐ音もきこえません。その鎮まり返った中でじっと耳を澄ましていると、どこからか水の音が遠くひびいて来るようです。さっきの女の児が山女を捕っていた川の音であろうと思うと、わたくしはまた女の児のことを思い出しました。
その途端に、六助じいやが何か叱っているような声がきこえました。じいやは母屋から少し距れたところに小屋のような家を作って、そこに寝起きをしているのでした。その声を聞くと、三津子さんは急にそこにある草履を突っかけて、ふた足ばかり庭さきにあるき出して、子細らしく耳を傾けているようでした。わたくしも何事かと聞き澄ましていると、じいやの声は暗い中でとぎれとぎれに聞こえました。
「また来たか。いけねえ、いけねえ。もう遅いから、帰れ、帰れ。ぐずぐずしていると、狼に食われるぞ。」
狼――わたくしは思わずぎょっとしました。ここらにも狼が出るのかしらと、なんだか急に怖くなりましたが、三津子さんはやはり身動きもしないで、じいやの声をちっとも聞きはぐるまいと熱心に耳を引き立てているようでした。
「さあ、悪いことはいわねえ。帰れ、帰れ。山女なんぞもう要らねえよ。