Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
「なんでも庭の方を歩いていらしったようですが……。」
「庭に出ていましたか。」と、男の不安らしい声もきこえた。
それが好子の連れの男であることは直ぐに想像されたので、深田君は早く行けとうながしたが、好子はなぜか容易に起とうともしなかった。庭の方ではしきりに探しているらしいので、深田君は気の毒になって声をかけた。
「もし、もし、お連れの御婦人ならばここにおいでですよ。」
その声を聞きつけて、男の方はすぐに駈けて来た。それが上原というのであろう。顔の青白い、眼の色のにぶい、なんだか病身らしい痩形の男で、深田君に丁寧に挨拶して好子を連れて行こうとすると、好子は狂女のように飛びかかって男の腕を強くつかんだ。
「薄情、不人情、嘘つき……。人をだまして、置き去りにして……。」
力任せに小突きまわして、好子は噛み付きそうに男の薄情を責めた。それがヒステリーの女であることを深田君はさとった。上原という男も人の見る前、すこぶるその処置に困ったらしく、いろいろにすかして連れて行こうとしたが、好子はなかなか肯かないで、大きい庇髪をふりくずしながら、自分の泣き顔を男の胸にひしと押し付けて、声をあげて狂いわめいた。