Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
そうして、仏前にむかって高い朗かな声で経をよみ始めた。その威厳におびやかされて不埒者の群れは喧嘩に負けた犬のように早々に逃げ帰った。こんなことから、かの尼に対する村の信仰はいよいよ強められた。
尼がこの村に足を入れたのは今から三年ほど前で、それまでは宇都宮の方にいたとの話であった。修行のために奥州の方角を廻るつもりで、この街道を托鉢しながら通る途中、かのありがたい石地蔵の前に立ったときに、尼は言い知れない随喜渇仰の念に打たれて、ここにしばらく足を停めることに決心して、村はずれに茅ぶきの小さい堂を建立した。僕は子供の時のことで、それらの事情を詳しく知らないが、なんでも以前からやはりそこには堂のようなものがあって、堂守がどこへか退転した後は久しく破損のままになっていたのを、かの尼が村じゅうを勧化して更に修覆したのだとも聞いていた。いずれにしても、かの尼は一人でその小さい堂を守って、経を読むのと托鉢に出るのと、かの地蔵さまを拝むのと、それだけを自分の日々の勤めとして、道徳堅固に行ない澄ましていた。尼は地蔵さまを信仰することが厚いので、本名の無蔵尼がいつか地蔵尼に転じてしまって、村の者はみな地蔵尼と呼ぶようになった。