Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
「そのこてちゃんはどうして死んだのです。心中でもしたのですか。」
「心中……。いや、そんな粋なことじゃないんです。心中なら早速あなたの材料になるかも知れませんが……。」と、安井君は白い歯を少しみせたが、やがてまた真面目になって、ハンカチーフで口のまわりをなでた。「しかし材料にならないこともありませんね。ちょっとまあ変わっている死に方なんですから。」
「もうそんな話、お止しなさいよ。」と、芸妓は手を振った。「あたし、あの時のことを考えると今でもぞっとするわ。」
「聞くのがいやならあっちへ行きたまえ。僕はこの先生にお話をするんだから。いや、君もここにいてくれた方がいい。僕の忘れたところは君に教えてもらうから。」
「あら、いやですわ。」
まさか逃げるわけにもいかないらしく、若い芸妓は顔をしかめたままで、やはり食卓の前を離れなかった。女中がいつの間にかスイッチをひねって行った電灯は十五畳ばかりの座敷を明かるく照らして、むき捨てたバナナの皮にあつまってくる蝿の翅も鮮やかにみえた。窓の風鈴は死んだように黙ってしまった。
「風が止まった。」と、安井君はからだを捻じむけて、窓のあいだから暗い空を仰いた。