Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
もとより、円髷と銀杏返と、一人ずつ、別々に離れた場合は、私に取って何事もないのです。――申すまでもない事で、円髷と銀杏返を見るたびに、杓を持って追掛けるのでは、色情狂を通り越して、人間離れがします、大道中で尻尾を振る犬と隔りはありません。
それに、私が言う不思議な婦は、いつも、円髷に結った方は、品がよく、高尚で、面長で、そして背がすらりと高い。色は澄んで、滑らかに白いのです。銀杏返の方は、そんなでもなく、少し桃色がさして、顔もふっくりと、中肉……が小肥りして、些と肩幅もあり、較べて背が低い。この方が、三つ四つ、さよう、……どうかすると五つぐらい年紀下で。縞のきものを着ている。円髷のは、小紋か、無地かと思う薄色の小袖です。
思いもかけない時、――何処と言って、場所、時を定めず、私の身に取って、彗星のように、スッとこの二人の並んだ姿の、顕れるのを見ます時の、その心持と云ってはありません。凄いとも、美しいとも、床しいとも、寂しいとも、心細いとも、可恐いとも、また貴いとも、何とも形容が出来ないのです。
唯今も申した通り、一人ずつ別に――二人を離して見れば何でもありません。