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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme

Aozora Bunko

――鳴滝川にほえ狂う、しぶきがみな、それに聞こえるのである。

『死のう。……生きて、世に、面向けのなる身かは』

突然、かれは、奔流へ向かって、答えた。よろ這うて、一つの巌頭へ取ッついた。そして、下をのぞいたが――そのとき、かなたの岸から、石切り男の一群が、瀬の岩から岩を跳び渡って来るのが見えた。盛遠は、パッと、すぐ逃げた。もう習性なのである。一気に、山の上まで、逃げのぼった。

抱えていた物を、前におき、どたと、大地へすわりこんだ。はだの汗ばみを意識してか、胸毛をなでまわして、しばらく大きな呼吸をくり返していた。

自害の意志は、変っていない。正気をとり戻していると思う。――ゆるし給え恋人。かれは、眼のまえの人に掌をあわせた。

おもい出される限りの人びとの名を称え、かれは、同じように、心で詫びた。そして、袈裟の首を、包みから解いた。――見てたまえ、死をもて詫びる盛遠の最期を。いまは、おなじ空骸となる身ながら、ひと目、世の面影を、見て果てんものを――と。

『…………』

漆に似た液体に乾びついて、みだれた黒髪はほおといわず額といわず、藻のようにはりついていた。