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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme

Aozora Bunko

しかも、その御遺旨には、

(自分の屍は、都の西郊に捨てて、世の色餓鬼たちの見せ物に与えてください。腐爛したわたくしの亡きがらを見た人は、おそらく何か考えることがありましょう)

と、あったので、お心にはそむき難く、今までにない、林葬という違例をとって、おん亡骸を、野鳥や山犬の弔いに、委せたということである。

橘ノ嘉智子と、袈裟ノ前とが、かれの頭のうちで違わない人に思えたとき、かれは、新しい呼吸をし直した。生々久遠の美と光をもつ日輪のまえに、悩むこと、惑うこと、苦しむこと、何一つ、価値があると思えるものはない。――笑いたくさえなる。

だが、人間はある。果てなく生まれ次いでゆく。宇宙観の冷厳だけで、それをいいきってしまっては、人間とは、余りにも微小であわれ過ぎる。せめて、人間の中の範囲で、価値を見つけて生きあうのが、はかない者同士の世の中というものではあるまいか。――と、思い出したかれは、何か、地上の価値を見つける者のひとりになろうと思った。生きる愚よりは、死ぬのは、なお大きな愚だと思った。

草庵というよりは、簡素な山荘という方がふさわしい。

鳴滝の上流と、清滝の水とが交叉している渓川橋をわたって、高雄道八丁への途中、栂尾の山ふところに、覚猷僧正は、時どき来ている。