Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Lesen Sie 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.012 Zeichen · 245 Bildschirme
父上の意気地なしよ。――眇目の伊勢どのは、美人を妻にもったため、女房負けしてござるぞと、世間ではいっているわ)
清盛とて、二十歳近くにもなれば、これくらいな義憤はもった。世間の例では、子どもは、母親びいきときまっているが、かれの家庭では、あべこべだった。父に加担しないのは、まだ母の乳ぶさにいる末子と、わけの分からない三男、四男だけで、次男の経盛なども、冷静な性だけに、もの狂いするときの母の唇を、ときには、憎そうにまで、冷やかな眼で見ていることがある。
そんなおり、この兄弟にとって、世にも情ない気がするのは、父その人の姿だった。まるで、妻にこき下ろされるために生きている男のように、黙って、やりこめられているではないか。世間のあだ名にされている瞼の皮のヒッつれた眇目をふせて、じっと、自分のひざの拳を見ている父……。
顔に、あばたはあるし、あだ名の通りなスガ目だし、四十幾つの男ざかりだが、父はたしかに醜男ではある。正直、子の清盛でも、そう思う。
それにひきかえ、母は美しい。まだ二十代とも見えるほどだ。あれで五人の子の母かと、世間のあやしむのも道理である。