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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、暫く見詰(みつ)めていると外(ほか)の砂と入り交って分らなくなりそうになったので直(いそ)いでまた取り上げた。眼が些っと痛かった。

彼はだんだん嬉しくなって来た。小刀が買える、カバンが買える、とそう思った。が、直ぐその後に姉のことを思い浮べると、小刀もカバンも飛び去って、ただこの金剛石を持っているということばかりで姉が家へ帰って来られるような気がして来た。もうじっとしていられなかった。

そこへ米より三つ上の辰(たつ)という子が帰って来た。

「金剛石やぞ、これ。」

米は些っと砂粒を差し出すと直ぐ背後へ廻した。

「嘘(うそ)いえ。」と辰はいった。

米は金剛石を見せずにはいられなかった。

辰はその砂粒を取ると暫く眺めていて

「こんな金剛石あるか。」

といった。そして、不意に半分手を差し出している米の傍から、駆(か)け出(だ)した。米は、三、四間(けん)後を追いかけたが急に真蒼(まっさお)な顔をして走り止まると大声で泣いた。

辰は米を見返って溝の中へ捨てる真似をして道傍(みちばた)の材木の上へ金剛石を乗せて、赤目を一度してそのまま帰った。

米は辰の姿が見えなくなると徐々(そろそろ)材木の方へ歩いて行った。