Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
「漢和何とかいうの引いたの。末っちゃんに考えてもらえって私(うち)いうたのやけど、義兄(にい)さんったらきかはらへんのや。いややなアそんな名?」
「こりゃ可愛(かわい)い子だ。俺に似るとやっぱり美人だな。」
「そうかしら、お風呂で芸者はんらがな、こんな可愛らし子どうして出来るのやろいうて取り合いしやはるのえ。」
「いい子だよ。苦労するぜ姉さんは。」
末雄は姉を見て笑うと、急に自分のませた態度が不快になった。彼は立って井戸傍(いどばた)へ足を洗いに行った。それから疲れていたので姪の傍にくっついて寝たが、姉が見ていなかったので姪の手を引っぱったり鼻をつまんだりしてなかなか眠つかれなかった。
五
彼は遠くで赤子の泣き声のしている夢を見て眼が醒(さ)めた。すると、傍で姪が縺(もつ)れた糸を解(ほど)くように両手を動かしながら泣いていた。
「アッハ、アッハ、アッハ、アーッ。」
そういう泣き方だ。彼は前に読んだ名高い作家の写生的な小説の中で、赤子の死ぬ前にそれと同じ泣き方をする描写があったのを思い出した。彼は不安な気がして姉を呼んだ。姉はいなかった。