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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

で、姪を抱き上げて左右に緩(ゆる)く揺(ゆす)ってやると直ぐ泣きやんだ。

「死ぬのじゃなかった。」

そう思って彼は静(しずか)に寝かしてやると、また、「アッハ、アッハ。」と泣き出した。彼はまた抱き上げた。するとやはり泣きやんだ。こんな同じことを辛抱強く四度ほど繰り返すうちに、もう彼は面倒臭くなって来て、身体に力を籠(こ)めながら欠伸(あくび)を大きくした。姪は腹のあたりを波立たせて、「アッハ、アッハ。」と泣いた。

彼はいらいらして来た。が、姪はしきりに泣き続けた。

「泣け泣け。」

彼はじっと憎々しい気持ちで姪を眺めながらそういった。が、その中(うち)にもうとても溜(たま)らなくなって来た。彼は竊(そ)ッと姪の黄色な枕の下へ手を入れて彼女の頭を浮き上らせると、姪はぴたりと泣きやんだ。彼は姪を抱き上げてやる気はなかった。で、にたりと笑いながらまた静に手放すと、彼女は前より一層声を張り上げて全身の力で、「アッハ、アッハ、アッハ。」と泣き立てた。

彼はうまい手を覚えたつもりでもう一度それを繰り返そうとした。が、ふと、幸子(ゆきこ)は生れて今初めて瞞(だま)されたのではなかろうかと思った。