Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
」と姉は幸子を見ていった。
「アそかそか、叔父さんがな、遠い所でこんなにええ物買(こ)うて来ておくれはった。アーええこと、ソーラ。」
彼の母が人形を差し出すと幸子は祖母の顔と人形とを暫(しばら)く交(かわ)り番(ばん)こに眺めていてから、そろそろと人形の方へ手を出した。
「あの顔。」といっておりかは笑った。そして、自分でまた別の猿の頭をゴムで作った小さい玩具を出して幸子の鼻の前へ持っていった。
「そうれユウちゃん、こんどは猿(えて)さん。」
するとおりかは猿の頭を押したと見えて、猿の口から細長い袋になっている赤い舌が飛び出した。幸子は眼をパチパチさせて反(そ)り返(かえ)ったが、頭が母の胸で止(と)められると眼をつむって横を向いてしまった。皆が笑った。が、彼は疲れていたのでひとり恐(こわ)い顔をして、
「大きゅうなったね。」と一口言った。
「そう、大きゅうなってる? お母さん、ユウが大きゅうなったって。」
と姉は傍にいる母にいってきかせた。
「そりゃ大きゅうなってるわさ。」
「そうかしら、ちっとも大きゅうなったように見えやへんけど、傍にいるでやな。