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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

」と姉は嬉しそうにいった。

十

二、三日して前(さき)に日向(ひゅうが)へ行っている彼の父から母に早く来いといって来た。母は孫の傍から離れてゆくのを厭(いや)がったがとうとう行くことになった。

出発の時、汽車の窓から首を出している彼女の前には、久吉とおりかと、おりかの肩から顔を出している幸子とそれから彼とが並んで立っていた。彼も皆も今別れれば何日(いつ)また会えるか解らなかった。

汽車が動き出した。

「バーゆうちゃん、バーア、行って来るえ。バーア。」

彼の母は孫の顔ばかりを見ていた。彼はもう母が自分の方を向くか向くかと待っていた。

おりかは片肩を歪めて幸子を前へ突き出すようにしたが、幸子は口を開いて汽車の動くのを眺めていた。

「バーア、ゆうちゃんゆうちゃん、バーア、行って来るえ、バーア。」

遂々(とうとう)母は彼の方を一度も見なかった。汽車が見えなくなると、彼は姉夫婦から離れて前(さき)に急いで改札口から外へ出た。子よりも孫の方が可愛いらしい、そう思うと、その日一日彼は塞(ふさ)いでいた。

十一

休暇が終ると彼は上京した。その前日去年生れた赤子の種痘(しゅとう)を近日するという印刷物が姉の家へも配られた。