Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
しかし、帰った彼らの誰もは弓と矢を捨てると黙って農夫の姿に変っていた。長羅は童男の運ぶ食物にも殆ど手を触れようともしなくなった。そればかりでなく、最早や彼を助ける一人残った祭司の宿禰にさえも、彼は言葉を交えようとしなかった。そうして、彼の長躯は、不弥を追われて帰ったときの彼のごとく、再び矛木のようにだんだんと痩せていった。彼の病原を洞察した宿禰は、蚯蚓と、酢漿草と、童女の経水とを混ぜ合せた液汁を長羅に飲ませるために苦心した。しかし長羅はそれさえも飲もうとはしなかった。そこで、宿禰は奴国の宮の乙女たちの中から、優れた美しい乙女を選抜して、長羅の部屋へ導き入れることを計画した。しかし、第一日に選ばれた乙女と次の乙女の美しさは、長羅の引き締った唇の一端さえも動かすことが出来なかった。宿禰は憂慮に悩んだ顔をして、自ら美しい乙女を捜し出さんがため、奴国の宮の隅々を廻り始めた。その噂を聞き伝えた奴国の宮の娘を持った母親たちは、己の娘に華やかな装いをこらさせ、髪を飾らせて戸の外に立たせ始めた。そうして、彼女自身は己の娘を凌駕する美しい娘たちを見たときにはそれらの娘たちの古い悪行を、通る宿禰の後から大声で饒舌っていった。