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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

こうして、第三に選ばれた美しい乙女は、娘を持つ奴国の宮の母親たちのまだ誰もが予想さえもしなかった訶和郎の妹の香取であった。しかし、己の娘の栄誉を彼女のために奪われた母親たちの誰一人として、香取の美貌と行跡について難ずるものは見あたらなかった。何ぜなら、香取の父は長羅に殺された宿禰であったから。彼女は父の惨死に次いで、兄の逃亡の後は、ただ一人訶和郎の帰国するのを待っていた。彼女にとって、父を殺した長羅は、彼女の心の敵とはならなかった。彼女の敵は、彼女がひとり胸底深く秘め隠していた愛する王子長羅を奪った不弥の女の卑弥呼であった。そうして、彼女の父を殺した者も、彼女にとっては、彼女を愛する王子長羅をして彼女の父を殺さしめた不弥の女の卑弥呼であった。選ばれた日のその翌朝、香取は宮殿から送られた牛車に乗って登殿した。彼女は宿禰が彼女を選んだその理由と、彼女に与えられた重大な責任とを、他に選ばれた乙女たちの誰よりも深く重く感じていた。彼女は藤色の衣を纏い、首からは翡翠の勾玉をかけ垂し、その頭には瑪瑙をつらねた玉鬘をかけて、両肱には磨かれた鷹の嘴で造られた一対の釧を付けていた。