Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
聴く人が喜べば、自分も共によろこんで、いつまでも倦まずに語るのである。そこでこの場合、老人はどうしても河獺について何か語らなければならないことになった。
「つかんことを申し上げるようですが、東京になってからひどく減ったものは、狐狸や河獺ですね。狐や狸は云うまでもありませんが、河獺もこの頃では滅多に見られなくなってしまいました。この向島や千住ばかりじゃありません。以前は少し大きい溝川のようなところにはきっと河獺が棲んでいたもので、現に愛宕下の桜川、あんなところにも巣を作っていて、ときどきに人を嚇かしたりしたもんです。河童がどうのこうのというのは大抵この河獺の奴のいたずらですよ。これもその河獺のお話です」
弘化四年の九月のことで、秋の雨の二、三日ふりつづいた暗い晩であった。夜ももう五ツ(午後八時)に近いと思うころに、本所中の郷瓦町の荒物屋の店障子をあわただしく明けて、ころげ込むようにはいって来た男があった。商売物の蝋燭でも買いに来たのかと思うと、男は息をはずませて水をくれと云った。うす暗い灯の影でその顔を一と目見て、女房はきゃっと声をあげた。その男は額から頬から、頸筋まで一面になまなましい血を噴き出して、両方の鬢は掻きむしられたように乱れていた。